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毛羽立ちや糸引きのあるプリント

この記事での失敗は、押出すべきでないときにノズルから過剰な材料がにじみ出したことが原因です。

材料科学」の記事

ほとんどの問題と同様に、ポリマーの科学的原理を学べば問題解決の方法がわかることが多いです。「にじみ(Oozing)」という具体的な問題は本記事で直接扱っています。

リトラクション設定を増やす

リトラクションは、ノズルから余分な材料が出るのを抑えるためにプリンタヘッドが移動する際に行われます。基本的に、エクストルーダーがホットエンドから離れているほど、より強いリトラクション設定が必要になります。

つまり、ボーデン(Bowden)構成を使用する場合は、ダイレクトエクストルーダーを使用する場合よりもはるかに高いリトラクション設定が必要になります。また、ダイレクトエクストルーダーとホットエンドの間に小さな隙間がある場合も、Hemeraのようにほぼ隙間がないものと比べてリトラクションを大きくする必要があります。エクストルーダーとホットエンドの隙間が小さいほどリトラクションは少なくて済み、プリント上のブロブや糸引き(ストリング)を避けやすくなります。

使用する材料を理解することも非常に重要です。PLAなら設定を詰めることでブロブや糸引きをほとんど出さずに印刷できますが、PETGで完全に糸引きを避けるのはほぼ不可能です。PETGで印刷する予定がある場合、避けられないわずかな糸引きはカミソリやヒートガンで除去する必要が出てくるでしょう。

移動速度を上げる

これらのブロブや糸引きはホットエンドが積層していないときにしか発生しないため、ノズルが移動している時間を短くすることで発生量を減らせます。ステッパーモーターやフレームが加速や高速に耐えられる限り、移動速度を大幅に上げることができます。

CoreXY機では移動速度を200mm/s以上、移動加速度を約2,500mm/s²以上に設定できることがあります。もし機械のガタつきが多かったりステッパーのスキップ音が聞こえる場合は、これらの速度を下げるべきです。Bambu Lab製などの新しいプリンターは振動補償により、さらに高い加速度と移動速度を許容するものもあります。

問題が生じない範囲で設定できる最高速度は、これらの糸引きやブロブを大幅に減らすのに非常に効果的です。ホットエンドが移動中は印刷していないため、これらの高い移動速度によりプリント品質が低下することはないはずです。

上の写真は2つのリトラクションテスト印刷を示しており、違いは右側の印刷で移動速度が上げられていることだけです。

コースティングを試してみる

コースティングは押出パスの最後の部分を移動パスで置き換える手法です。印刷の最後の区間を移動パスに置き換えることで、にじみ出た材料が部品の印刷に使われ、糸引きを減らします。私たちの「レイヤー抜けやプリントの穴"という記事でわかるように、糸引きの問題がないときにコースティングをオンにしていると、印刷物の側面に穴が開くことがあります。

とはいえ、安価な多くのボーデンプリンターではコースティングを利用すると印刷品質が改善するのを目にするでしょう。これは特にPLAよりも糸引きが発生しやすいPETGのような材料を印刷する場合に当てはまります。

材料を乾燥させるか交換する

材料が水分を吸収しすぎると、毛羽立ちや糸引きなどさまざまな印刷問題が発生します。押出時に「ポップ」や「クラック」音が聞こえる場合、フィラメントが水分を吸収しすぎている可能性が高いです。

材料を乾燥させるか、新しいスプールに交換してください。

糸引きや毛羽立ちのある3Dプリントを減らす方法の要約

  • 「材料科学(Material Science)」の記事を読む

  • リトラクション設定を増やす

  • 移動速度を上げる

  • 特にボーデン式エクストルーダーを使用している場合は、コースティングを試してみてください

  • 材料を乾燥させるか交換する

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