印刷厚さと耐熱性の関係
印刷厚さが耐熱性に与える影響
3D印刷では、層高や部品の厚さは強度や重量だけでなく、その他の特性にも影響を与えます。プリントの厚さは、使用中や焼きなましなどの後処理時に熱にさらされたときに形状を保持する能力に重要な役割を果たします。一般に材料を比較する際に熱変形温度(HDT)がよく取り上げられますが、プリントの形状や密度も実際の性能に大きく影響します。
薄いプリントと熱による変形
薄肉や低密度のプリントは、熱にさらされると反りや変形を起こしやすくなります。構造に抵抗する材料が少ないため、内部応力に対して早く軟化し形状を失いやすくなります。これは特に薄いモデルをアニーリング(焼きなまし)する際に顕著で、内部応力が解放されプラスチックがリラックスするためです。
このため、薄い部品を扱ったりアニーリングするときは追加の対策を講じるべきです。一般的な方法としては塩アニーリングや砂アニーリングがあり、プリントを細粒に埋めて加熱中に固定する手法です。プリントが平らな場合は、プロセス中の反りや巻き込みを防ぐために上に重りを載せると効果的です。これらの方法は望ましくない歪みを減らし、寸法精度を失うことなく熱処理によって耐熱性を向上させます。
厚いプリントと寸法安定性
より厚く密度の高い部品は、熱下で異なる挙動を示します。塊量と構造的な一体性が大きいため、露出時の軟化や反りに対してより抵抗力があります。重く堅いプリントは一般にアニーリング中に支持を必要とせずに形状を保ちます。特定の材料ではアニーリングによって結晶化が進み耐熱性が向上することがありますが、薄肉プリントと比べて形状変形が起こる可能性はずっと低くなります。
熱変形温度を超えて
プリントされた物体の耐熱性は材料の評価だけで決まるものではありません。HDTは有用な基準情報を提供しますが、形状や厚さが実際の使用での挙動に寄与します。同じフィラメントで作られた薄いトレイとソリッドブロックは、熱にさらされたときに非常に異なる挙動を示すことがあります。この関係を理解することで、望ましい熱性能を得るために適切なプリント設定、インフィル、および後処理方法を選択できます。
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